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2022.03.30
税金 法律

令和4年度税制改正をピックアップ!住宅ローン控除制度の見直しなど

 

令和4年度税制改正で住宅ローン控除などはどう変わる

目次

 

2022年(令和4年)に4月から新たな税制が一部でスタートします。

今回の改正では住宅ローン控除をはじめ、税率や控除期間などの延長が目立っています。

一見、改正前後の違いがわかりづらくなっています。
本記事では比較を交えて、新築における以下の3点について解説することにしました。

  1. 所得税や住民税(住宅ローン控除)
  2. 住宅の購入または工事契約時に係る税金
  3. 固定資産税と都市計画税

 

以上、順に変更点などをお伝えしますので、これから新築の検討や工事契約の際に参考にしてください。

令和4年度税制改正で住宅ローン控除は認定住宅にメリットが大きくなる

所得税・住民税(住宅ローン控除)

住宅ローン控除は所得税や住民税の節税に繋がる制度です。

今回の改正では控除内容や期間が変わりました。
住宅ローンに関連することから、関心も高いものと考えて最初にお伝えすることにします。

住宅ローン控除の変更内容

住宅ローン控除とは、住宅ローンの残債に税率を掛けて算出した金額分を、所得から控除できるしくみです。

例えば、住宅ローンの残債が3,000万円である場合、これまでの控除率1%である30万円を、所得から控除するという制度になります。
前述のように改正前の控除率は「1%」でしたが、改正後は「0.7%」となりました。
例に出したケースにおいては、30万円から21万円の所得控除になるわけです。

また、年間所得も3,000万円未満を対象に、住宅ローン控除を利用することが可能でしたが、改正後は2,000万円未満が対象となりました。

しかし、住宅ローン控除を利用できる期間が新築住宅の場合、10年から13年に延長されています。
控除率のメリットが減った分をカバーする意図が感じられます。

住宅ローン控除制度の

見直し内容

改正前

改正後

控除率

1%

0.7%

期間

10年

13年

年間所得上限

3,000万円

2,000万円

改正前後を比較するにしても、パッと表を見るだけでは非常にわかりにくい状況となっています。
新築住宅を3,000万円の住宅ローンを用いた場合を例にして、シミュレーションした結果を示します。

※35年ローン、金利1%を想定、端数は四捨五入

残債

総返済額

(3,556.78万円)

改正前所得控除額

(控除率1%)

改正後所得控除額

(控除率0.7%)

1年目

3,455万円

34.55万円

24.18万円

2年目

3,353万円

33.53万円

23.47万円

3年目

3,251万円

32.51万円

22.75万円

4年目

3,150万円

31.50万円

22.05万円

5年目

3,048万円

30.48万円

21.33万円

6年目

2,947万円

29.47万円

20.63万円

7年目

2,845万円

28.45万円

19.91万円

8年目

2,743万円

27.43万円

19.20万円

9年目

2,642万円

26.42万円

18.49万円

10年目

2,540万円

25.40万円

17.78万円

11年目

2,438万円

17.07万円

12年目

2,337万円

16.36万円

13年目

2,235万円

15.65万円

合計控除額

299.74万円

255.87万円

このシミュレーションでは改正前の制度の方が、メリットは大きかったことがわかります。

もちろん、借入額や金利、借入期間によって状況は異なりますし、内容は変更されてはいるものの減税が延長されたことは喜ぶべきことです。
上記の表は目安として参考にしてください。

ちなみに、令和7年(2025年)までが適用期間です。

認定住宅にはメリットが大きい

認定住宅となると住宅ローン控除の恩恵は拡大します。
長期優良住宅や低炭素住宅など、省エネ性能の高い住宅ほど有利になることが明確となりました。

まず、改正前の認定住宅の特別控除はコチラ。

住宅種別

取得方法

取得金額

(控除限度額)

認定住宅

(長期優良住宅・認定低炭素住宅)

特定取得

(消費税が課せられる場合のもの)

5,000万円

(控除限度額50万円)

 

それ以外

(個人間売買等)

3,000万円

(控除限度額30万円)

一般住宅

特定取得

4,000万円

(控除限度額40万円)

 

それ以外

2,000万円

(控除限度額20万円)

一方、改正後は、令和5年と6年を境に、控除限度額が異なるため要注意です。

詳しくは下記の表を確認してください。

住宅種別

令和4年1月1日~

令和5年12月31日

取得金額

(控除限度額)

令和6年1月1日~

令和7年12月31日

取得金額

(控除限度額)

認定住宅

(長期優良住宅・認定低炭素住宅)

5,000万円

(控除限度額35万円)

4,500万円

(控除限度額31.5万円)

ZEH水準の省エネ住宅

4,500万円

(控除限度額31.5万円)

3,500万円

(控除限度額24.5万円)

省エネ基準の適合住宅

4,000万円

(控除限度額28万円)

3,000万円

(控除限度額21万円)

一般住宅

3,000万円

(控除限度額21万円)

2,000万円

(控除限度額14万円)

ご覧のように、環境や省エネに配慮した住宅を増やす目的もあり、住宅種別が細分化されています。

国による省エネ住宅の推奨、カーボンニュートラルの実現を目指していることが、明確に伝わってくる改正内容です。

令和4年度税制改正で住宅購入時の印紙税や登録免許税や不動産取得税の変更点

住宅の購入または工事契約時に係る税金

住宅を含む不動産の購入、あるいは新築の工事契約をする際に係る

  • 印紙税
  • 登録免許税
  • 不動産所得税

 

についても変更がありました。
ひとつずつ、変更点をお伝えすることにします。

印紙税の税率軽減

不動産の購入では、売主と買主の間で売買契約書を締結するのが一般的です。

また、住宅を新築する場合は、建築会社と工事請負契約を締結することになります。
どちらの契約書も課税文書に該当するため、収入印紙を契約書に貼付して納税しなければなりません。

契約金額に合わせた収入印紙を貼付しますが、今回の税制改正では印紙代金が安く済むようになりました。

詳しくは下記の表を参考にしてください。

契約金額

 

改正前

改正後

不動産売買契約価格

建設工事の請負契約金額

 

 

1万円未満(※)

 

非課税

 

10万円を超え

50万円以下

100万円を超え200万円以下

400円

200円

50万円を超え100万円以下

200万円を超え300万円以下

1000円

500円

100万円を超え500万円以下

300万円を超え500万円以下

2,000円

1,000円

500万円を超え1千万円以下

 

1万円

5,000円

1千万円を超え5千万円以下

 

2万円

1万円

5千万円を超え1億円以下

 

6万円

3万円

1億円を超え5億円以下

 

10万円

6万円

5億円を超え10億円以下

 

20万円

16万円

10億円を超え50億円以下

 

40万円

32万円

50億円を超えるもの

 

60万円

48万円

一般的な住宅の売買や工事請負の契約金額の相場からすると、

  • 1千万円を超え5千万円以下
  • 5千万円を超え1億円以下

の範囲の印紙税額を知っておくと良いでしょう。

登録免許税の税率軽減

登録免許税は不動産や住宅を購入する際に納める税金ですが、納税のタイミングは以下の3つです。

  1. 所有権移転登記(注文住宅用土地購入時)
  2. 所有権保存登記(注文住宅用建物購入、新築の建売物件購入時)
  3. 抵当権設定(金融機関から土地や建物を担保として融資を受ける時)

登録免許税は不動産の固定資産税評価額に税率を掛けた値、金融機関から借入した金額に税率を掛けた値となります。
今回の改正で税率が軽減されたので下記の表を見て確認しておいて下さい。

※住宅用家屋(一般住宅)の特例措置

登記の種類

改正前税率(本則)

軽減税率

所有権移転登記

2.0%

0.3%

所有権保存登記

0.4%

0.15%

抵当権設定登記

0.4%

0.1%

認定住宅については一般住宅より優遇されます。

※認定長期優良住宅に係る特例措置

登記の種類

改正前税率(本則)

軽減税率

所有権移転登記

一般住宅特例0.3%から

さらに引き下げ

0.2%

所有権保存登記

一般住宅特例0.15%から

さらに引き下げ

0.1%

※認定低炭素住宅に係る特例措置

登記の種類

改正前税率(本則)

軽減税率

所有権移転登記

一般住宅特例0.3%から

さらに引き下げ

0.1%

所有権保存登記

一般住宅特例0.15%から

さらに引き下げ

0.1%

なお、上記の特例措置は全て、令和6年3月31日まで延長となります。

さらに、土地の売買においても特例措置が継続中ですので、参考にしてください。

登記の種類

改正前税率(本則)

軽減税率

所有権移転登記

2.0%

1.5%

この特例措置は令和5年3月31日までの時限措置のため、それ以降についての続報などがあれば、本コラムで情報提供する予定にしています。

不動産取得税の課税標準控除額

不動産所得税は不動産を取得した際にかかる税金です。
建物を取得した際は、固定資産税評価額に一定の税率を掛けた金額を納税額として納税します。

本来の税率は4%ですが、令和6年3月31日までは特例措置として、3%に軽減されます。

今回の改正では税率の変更はありませんが、一般住宅と認定低炭素住宅では課税標準からの控除額は1,200万円ですが、認定長期優良住宅に限り1,300万円に増額です。

控除額が増えるということは、必然的に納税する金額は減るということになります。

令和4年度の税制改正で固定資産税や新築住宅減税措置や都市計画税の変更点とは

固定資産税と都市計画税

固定資産税は、毎年1月1日時点で不動産を所有している方に課せられる税金です。
3年に一度、固定資産税の算出基準である固定資産税評価額の見直しが実施されます。

都市計画税は、市町村が都市計画区域内にある土地や家屋に対して、事業に必要な費用に充てるために徴収する税金です。

今回の改正では変更がありましたので、個別にお伝えします。

新築住宅の減額措置

先ほどもお伝えした通り、固定資産税は不動産を所有している方に納税義務があり、税率は1.4%となっています。

新築住宅においても納税は同様ですが、税額の減額措置が今回の改正で2年間の延長となり、令和4年4月1日~令和6年3月31日までとなりました。

その延長された内容は下記の通りです。

新築住宅の固定資産税

3年間納税額が1/2

認定長期優良住宅の固定資産税

5年間納税額が1/2

新築の一般住宅では3年間、認定長期優良住宅では5年間、固定資産税は安くなりますが、前者は4年目、後者は6年目以降には減額の措置がなくなります。

ちなみに土地に関しては、

  • 小規模住宅用地(200㎡まで):評価額の1/6
  • 一般住宅用地(200㎡超):評価額1/3

という措置がありますので参考になさってください。

さらに商業地の負担調整措置についても触れておきます。

令和3年は固定資産税評価額の見直しが入る年でしたが、新型コロナウイルスにより景気が悪化したことで、商業地の土地に関しての負担水準60%未満は下記の表のように定めました。

課税評価額(令和3年度)

課税評価額(令和4年度・令和5年度)

前年度の固定資産税評価額に据え置き

前年度の固定資産税評価額+(当年度の固定資産税評価額×2.5%)

これにより、地価が上昇した場合でも新型コロナウイルスでダメージを受けている商業地の土地所有者は、納税額を安く納めることが可能となります。

土地の都市計画税

都市計画税については、一般住宅と認定住宅ともに減額措置はなく、0.3%のままですが、土地に関しては、

土地に関しては、

  • 小規模住宅用地(200㎡まで):評価額の1/3
  • 一般住宅用地(200㎡超):評価額2/3

という措置がありますので参考になさってください。

 

まとめ

今回、令和4年度税制改正に着目して、内容を紹介しました。
住宅ローン控除に関しては、控除額は下がったものの期間は10年から13年に延びたことで、多少、メリットは薄れたものの継続して減税の恩恵は受けられます。

そのほかの内容も目新しさはありませんが、省エネ住宅に対する措置は拡大したと言える内容です。

これから注文住宅の建築を検討にしている方は、まず、住宅の省エネ仕様によるコストアップと節税効果のバランスを、シミュレーションしてみてください。

それから契約のステップへ行くことをおすすめします。

弊社リブワークでは省エネ性能の高い住宅、特に断熱性能の指標となるUA値(小さいほど性能が高い)が0.37という、国内ハウスメーカーではトップクラスの実績を基に、快適な住まい作りを提案しています。

省エネ性能の高い注文住宅を検討している場合は、遠慮なく弊社リブワークヘご相談ください。

 

補足

本稿は、令和4年度の税制改正大綱に関して紹介したに過ぎず、法案成立の前段階での情報提供となります。

情報の正確性には努めていますが、その内容を担保するものではなく、一切の責任は負いません。

具体的な内容は、不動産業者、ハウスメーカー、税理士、会計士などへ、お問い合わせください。