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2022.01.27
土地 法律

マイホームに必要な土地の取引に関わる法律を知っておこう!

マイホームや土地の購入に関わる法律について

目次

 

最近では、住宅ローンの低金利化により、マイホームを検討する人も増えています。

好きなハウスメーカーで家を建てたり、中古の戸建て物件を不動産業者から購入したりすると、契約から引き渡しまでの面倒な作業をすべて引き受けてくれます。

しかし、不動産にかかわる法律、税金に関する法律を勉強していなければ、思わぬ落とし穴にはまる可能性は否定できません。

そこで今回は、夢のマイホームを安心して実現するために知っておくべき法律について紹介します。

売買契約や広告規制などに関わる法律

マイホーム探しを行う際にはインターネットで物件を検索し、土地、中古の戸建て住宅やマンションの売買契約をかわし、最終的に不動産の登記を自分の名義にするという一連の流れには、様々な法律が絡んでいます。
聞きなれない法律もいくつかありますので紹介していきます。

宅地建物取引業法

この法律は、不動産業者が不正取引をしないよう定めることで、宅地建物の流通の円滑化を図り、不動産購入者の利益を保護することが目的です。

一般の人が不動産を購入するとき、宅地建物取引業者が仲介して取引を行うことが多くなります。

この時、宅地建物取引業者の都合で自由取引が可能としたならば、取引方法を知らない一般の人は、非常に困ることになります。

不動産の知識が、宅地建物取引業者と一般の人では大きく違いますので、莫大な仲介手数料を請求されたり、工事の時期を大幅に遅らされたり、住宅に欠陥があっても隠されてしまうというリスクを防ぐための法律です。

不動産登記法

その名の通り、不動産の登記について定めた法律です。
家や土地などの不動産の場所や内容、不動産に関する権利を公示するための登記について定められています。

  • 不動産を取得した
  • 住所変更や氏名の変更があった
  • 不動産を相続した
  • 住宅ローンを完済した
  • 建物を取り壊した

このようなことが発生すると登記が行なわれるため、不動産の歴史のようなものが見えてきます。
不動産登記の制度があることで、安全に不動産の取引が可能なのです。

不動産の表示に関する公正競争規約

不動産の公正競争規約は、分かりやすくいうと「不動産広告のルール」です。

住まい探しをする人は、まず、新聞や折り込みチラシ、物件情報誌、ネット上のポータルサイトなどの様々な広告媒体から物件の情報を集めます。
これらの広告媒体から、予算、環境、購入の目的などを照らし合わせ物件を絞っていきます。

もしも広告媒体の情報がデタラメだったり、重要な事項について記載がなかったりした場合、物件選択の判断を誤らせる原因となり、顧客への不当な取引の誘導と捉えられかねません。
このようなことを未然に防ぐために、不動産業界が自主的に不動産広告のルールを定めたものが、不動産の表示に関する公正競争規約です。

消費者契約法

この法律は、平成13年4月1日に施行された法律です。

消費者と事業者の間で契約をするとき、持っている情報の質や量、交渉力は事業者の方が多く、格差が発生しまいます。
このような状況を背景に、消費者への不当な勧誘による契約の取消し、不当な契約条項の無効等が規定されているものです。

また、平成18年の法改正で消費者団体訴訟制度を導入し、平成19年6月より運営されています。

民法

民法は「私人間の権利義務関係にかかわる私法の基本的法律」のことです。

わかりやすく説明すると、人が社会で生活していく中でよくある、人と人とのトラブルを解決するための根本ルールを定めているものと言えます。

とはいっても、なかなかイメージするのが難しいものです。

具体例を出すと、隣の家の竹木の枝や根が、自分の敷地内に伸びてきていたり生えてきたりしている場合、民法第223条第2項では、根は取ってもいいが、第1項では木の枝は勝手に切ることはできず隣の家の所有者に切ってもらうことができるとなっています。

このように、日常で起こりがちな問題を解決に導く法律でもあるので、不動産取引に関わらず、身近な法律であることを知っておきましょう。

マイホームや土地購入に関わる建築時の法律や売買契約に関わる法律とは

建築時に関わる法律

家を建てたり、建て替えたりする場合もいろいろな法律が絡んできます。

土地を買ったけれど、法律の規制によってプラン通りの2階建ての広い家が建てられなかったり、建物の建築自体ができなかったりすると大変です。

ここでは、建築時に関わる法律を紹介します。

都市計画法

都市計画法は土地の無秩序な開発を抑制する法律です。

なぜこのような法律があるか?

節操なく勝手に好きな場所で土地開発を行ってしまうと、事故があっても現場が遠くて救急車が間に合わなかったり、火事が発生しても遠くて消火できなかったり、福祉をはじめとする公共サービスが行き届かなくなるからです。

記憶に新しい静岡県熱海市の盛土崩壊による土石流の事故は、都市計画法、もしくは宅地造成等規制法などを無視したものと言えます。

このような人災とも言えそうな事故などを防ぐため、都市を効率的に開発し人口を集中させ、効率的な都市開発を促す法律でもあります。

国土利用計画法

昭和30年以降の日本は、人口や産業が大都市に集中したことあって土地の価格が急上昇しました。
さらに昭和40年の後半には、土地の大量買い占め、および乱開発による自然環境破壊などが多く起こりました。

このような状況を招かないよう総合的かつ計画的な国土の利用を図ることを目的として制定されたのが国土利用計画法です。
ただし、すべての土地に対しての規制ではなく、

  • 市街化区域・・・2,000㎡以上
  • 市街化調整区域・非線引き区域・・・5,000㎡以上
  • 都市計画区域外・・・10,000㎡以上

上記のように、一定面積以上の要件にあてはまる土地が、事前届出制や事後届出制を必要としています。

建築基準法

その名の通り、家を建てるときに守るべき基本ルールを定めたのが建築基準法です。

この土地にどのような用途や規模の建物が建築可能なのか、建物の床面積や建築面積の上限はどれくらいかなど、そのルールは多岐にわたります。
建物の建築に入る前に行う建築確認申請、着工後の中間検査、建築完了後の完了検査なども、この法律により定められています。

住む人が安心して安全な建物に住めるように法律でしっかりと守っているのです。

都市の低炭素化の促進に関する法律

この法律を聞いたことがある人は多くないはずです。
別名「エコまち法」と呼ばれ、社会経済活動によって都市からの二酸化炭素の排出量を減らし、都市の健全な発展に寄与することを目的とする法律です。

この法律により、低炭素化のための建築物を新築しようとする場合、認定申請を所管行政庁に行うことができるようになりました。
認定により登録免許税が引き下げになったり、所得税の減税があったりというメリットもありますので、新築を検討されている方は申請をおすすめします。

長期優良住宅の普及の促進に関する法律

往来の作っては壊す社会から、「いいものを作って手入れをして長く大切に使う」社会への転換を目的として、長期にわたり住み続けられるための措置が講じられた優良な住宅を普及させるために施行された法律です。

長期優良住宅の認定を受けるためには、着工前に計画書をもって所管行政庁へ申請する必要があります。
認定基準をクリアして認定を受ければ、住宅ローンの金利引き下げ、補助金の受給などができますので、新築を検討する際は認定を受けることをおすすめします。

注文住宅の購入や建築時やアフターフォローに関わる法律とは

アフターフォローに関わる法律

家を建てたり、購入したりするときには、さまざまな法律で守られていることを紹介してきましたが、家を建てた後にトラブルが発生したときは、どのような法律が関わってくるのでしょうか。
ここではアフターフォローに関わる法律を紹介します。

住宅の品質確保の促進等に関する法律

この法律は品確法と呼ばれることもあり、住宅性能表示制度や新築住宅の10年保証など、主に3つの制度について定められています。

  1. 住宅性能表示制度(住宅性能評価)
  2. 住宅の紛争処理の体制
  3. 住宅の瑕疵担保期間10年の義務化

まず1つ目は、住宅性能評価についてです。
第三者の専門機関によって住宅の性能評価がなされ、結果を購入予定者などにわかりやすく表示するしくみです。
義務ではなく任意であり、買主または売主が制度の利用を決めます。

2つ目は紛争の処理に関することです。
住宅性能評価を受け、住宅性能評価書に記載された内容と住宅に相違、つまり不具合や欠陥が見つかり、売主との間でトラブルに発展するケースもあります。
そのような場合に、弁護料1万円を払えば、「指定住宅紛争処理機関」に処理してもらえるしくみです。

3つ目は新築の欠陥への補償に関することです。
購入から10年以内の新築住宅であれば、建物の傾きや雨漏りなどの重大な欠陥に対して、無償で補修等を売主または施工会社が実行するしくみになります。
ただし、経年劣化による建具の建付けの不具合や壁紙の剥がれなどは対象にならないため注意が必要です。

特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律

この法律は、前述した「住宅の品質確保の促進等に関する法律」によって、建設業者および宅地建物取引業者が負うことになる新築住宅への瑕疵担保責任の履行確保が目的です。

瑕疵担保責任の履行を確保するために、

  • 建設業者による住宅建設瑕疵担保保証金の供託
  • 宅地建物取引業者による住宅販売瑕疵担保保証金の供託
  • 住宅に係る瑕疵担保責任の履行によって生ずる損害をてん補する一定の保険の引受けを行う住宅瑕疵担保責任保険法人の指定等

について定められています。
家を建てた後の不具合や欠陥のフォロー、つまり瑕疵の補償について業者側の責任が果たされず、購入者が無き寝入りすることがないよう制定されています。

注文住宅や土地の購入などで掛かる税金に関わる法律とは

税金に関わる法律

不動産を購入すると、不動産取得税という税金がかかります。
相続や遺贈による取得を除いて、不動産を取得した場合の税額は以下の通りです。

不動産取得税 = 固定資産税評価額(土地建物それぞれ) × 3%

ただし、不動産を取得した直後に請求されるわけではなく、登記後6か月後~1年ほど経過の後に課税されます。
引渡し後、しばらくしてから数十万円ほどの大きな金額の請求で、驚かれる方も多いですが、忘れないようにしておきましょう。

地価公示法

不動産の売買価格は特に決まってないため、いくらで売買しようと自由なのですが、その背景には、実際に適正な金額を設定しようとしても難しい面があります。
そこで土地鑑定委員会が毎年1回、いくつか標準地を選定して適正価格として公示し、

  1. 一般土地取引の指標を与える
  2. 公共用地等の取得価格算定規準とする

ことを制度化しました。これを地価公示制度と言い、地価公示法によって規定されています。
土地取引の指標があることで適正価格での取引を行うことが可能となるわけです。

固定資産税評価額は地価公示に関わることから、その発表や変動については、大きく注目されます。

注文住宅や土地の購入に関わる契約や建築や税金に関わる法律など

まとめ

これまで、マイホームに必要な土地の取引に関わるさまざまな法律について紹介してきました。

不動産購入は、とてもたくさんのお金が動くことになり、購入される側も不安になります。
ここに紹介した法律の内容を少しでも理解すれば、思わぬ落とし穴に頭を悩ますことは少なくなることでしょう。

「法律」は、困っている人を助けるためのものです。
少しでも法律のことを勉強し知識を蓄えれば、夢のマイホーム実現にむけても失敗を恐れず頑張れます。

追記

本記事では、あくまでもマイホームに必要な土地の取引に関わる法律を、一部、紹介したに過ぎず、情報の正確性を担保するものではないため責任は負いません。
よって具体的な法律に関する相談等は、専門家へご依頼ください。