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2021.12.30
保険 耐震

火災保険の種類や補償のしくみを解説!地震保険も付保するべきか?

注文住宅を購入した時に検討する火災保険や地震保険の種類や補償の仕組みなど

目次

 

マイホームは一世一代の買い物です。
長い間、ローンを支払うことになるわけですが、同時に自然災害などからマイホームを守る責任も生じます。

自然災害によって傷ついたマイホームを、経済的な面でカバーするのが火災保険です。

火災保険と聞くと火災によるダメージの補償をイメージされる方も多いかもしれませんが、補償内容は火災に関することだけではありません。
火災はもちろん、選ぶ保険によっては盗難や漏水、地震まで補償してもらうことができます。

もしもの時に保険が使えないというのでは意味がありません。

今回は、マイホームを守るための火災保険の種類や仕組み、補償内容について解説していきます。

火災保険の種類

あくまで一般論として解説します。

個人向け住宅の火災保険は「住宅総合保険」と「住宅火災保険」に分かれますが、主な違いは補償範囲です。
共通する部分では、契約者の故意、重大な過失、戦争、内乱などによる損害は補償されません。

それでは、住宅総合保険と住宅火災保険について、それぞれ簡潔に解説します。

住宅火災保険とは

ベーシックな火災保険で、

  • 火災
  • 落雷
  • ガス爆発などの破裂・爆発
  • 風災・ひょう災・雪災(一部自己負担額の場合あり)

 

によってマイホームが損害を受けた場合に補償の対象となる保険です。

住宅総合保険とは

マイホームに関して、さまざまなリスクに備えたい場合は、住宅総合保険が最適です。
前述の住宅火災保険の内容に加えて、

  • 水災(一部自己負担額の場合あり)
  • 自転車の飛び込みなどによる飛来・落下・衝突
  • 給排水設備の事故などによる水漏れ
  • 騒じょう※などによる暴行・破壊
  • 盗難

 

によってマイホームが損害を受けた場合に補償の対象となる保険です。

※騒じょう:大騒ぎして秩序を乱す
参考:三省堂ウェブディクショナリー

一般的に保険料は、住宅火災保険に比べて高くなる傾向にあります。

注文住宅の購入時に検討する火災保険や地震保険の補償区分や割合とは

補償の区分と割合

火災保険では、補償の対象を、

  • 建物のみ
  • 家財のみ
  • 建物と家財の両方

 

上記のいずれかより選択します。

「建物」とは建物本体や車庫、「家財」は家具や家電製品などを指しますが、詳細は保険会社で確認するようにしてください。

マイホームの場合は、建物と家財の両方を選んで加入することをおすすめします。
大きな災害に遭遇してしまった場合は補償が足りないケースが想定されるためです。

火災を例に考えてみましょう。

火災保険は実損払い

火災保険では実損払い(実損補填)により保険金が支払われます。
実損払いとは、契約で定められた保険金額を上限として、実際の損害に応じて保険金を支払う方法です。

保険会社ごとに確認は必要ですが、一般的には、下記の条件を1回の事故で満たした場合、保険金は全額が支払われます。

  • 全焼
  • 80%以上消失、または流失
  • 損害額が保険金額の80%以上

 

なお、1回の事故で保険金の全額が支払われたときは、保険契約が自動的に終了してしまうこともありますので、合わせて確認しておくと良いです。

:火災で全焼

仮に、建物の時価が2000万円、家財の時価が500万円だとして、それぞれ上限を同金額として契約していたマイホームが、火災によって全焼してしまったとします。

  • 「建物」のみ保険に加入→2000万円の補償、家財は補償無し
  • 「家財」のみ保険に加入→500万円の補償、建物は補償無し
  • 「建物と家財両方の保険に加入」→2500万円の補償

 

ゆえにマイホームは建物と家財両方の保険に加入することがベストです。

厳密には補償限度額や免責(負担額)によって変わりますが、必要な金額を理解して保険に加入することにより、

「保険金が足りなかった」
「保険が出なかった」

というような心配はなくなります。

また、万一の時に生活の立て直しを早急に図るためにも、補償については契約更新の都度、検討することが望ましいです。

注文住宅購入時に検討する火災保険や地震保険の保険料の相場とは

火災保険の保険料の相場

火災保険の保険金や保険料など、相場が気になるところです。

まず火災保険の保険料は、建物構造、所在地、専有面積、補償内容、保険期間など、さまざまな要件によって決まります。
購入したマイホームについては、建物と家財の両方を補償する前提で見積もりすることをおすすめします。

その後、実情を見ながら補償内容を調整すると合理的です。

相場は無いに等しい

火災保険には費用相場がないといっても過言ではありません。
なぜなら決定基準に沿って保険料が決定するため、個々の必要条件によって保険料が異なってくるからです。

それでも具体的な金額を知りたい場合は、各保険会社の見積もりシミュレーションを利用すると目安がチェックできます。

主な決定基準は以下のとおりです。

保険料の決定基準

建物の種類 一戸建てかマンションかで異なります。
同一条件でも一戸建ての保険料が高い傾向です。

建物の構造

建物の構造で保険料は左右されます。

リスクによって3つの区分で評価され、一般的に保険料が安い順に、

  • M構造(マンション構造):例)コンクリートマンション
  • T構造(耐熱構造):例)鉄骨造の一戸建て
  • H構造(非耐熱構造):例)木造建物

 

となります。

建物の住所

大雪や台風など自然災害を受けやすい地域は、受けにくい地域に比べ、料金を高めに設定される傾向があります。

専有・延床面積

面積が広ければ広いほど保険料は高くなります。

築年数

築浅ほどリスクが低いと考えられているため、築年数の経過により保険料は高くなります。

補償・特約の内容

補償内容を手厚くするほど保険料は高くなります。
反対に火災・落雷など火災の対する補償のみにすると、保険料を抑えることができます。

保険期間・支払い方法

火災保険は契約期間を1年から10年の間で設定できます。
分割払いよりも一括払いでの支払いの方が保険料は安くなります。
保険期間が長いほど保険料は高くなりますが保険会社によっては長期割引があり、最大10年では約20%近くの割引率です。

 

※長期割引についての補足

損害保険料率算出機構は、個人向け住宅総合保険の保険料の目安となる参考純率について、全国平均で10.9%の引き上げを発表しています。

同時に、

『火災保険の参考純率が適用できる期間(現行:最長10年)を最長5年』

を明言していますので、長期契約の変更については各保険会社の動向を見るようにしてください。

参照:火災保険参考純率改定のご案内|損害保険料率算出機構

注文住宅購入時に検討する火災保険や地震保険の補償範囲は実損払いで段階がある

地震保険の補償範囲

住宅総合保険や住宅火災保険では対象にならない地震や噴火、これらを原因とする津波などの損害を補償します。

例)
地震が原因で火災が発生した
地震により、津波が発生し床上浸水した
噴火による噴石・溶岩流・火山灰などで建物や家財が損壊してしまった

地震保険は前述した実損払い、つまり実際の損害金額を支払うタイプの保険ではなく、損害の程度により基準が定められています。(次項で説明)

地震保険は火災保険にオプションで付ける(付保)ことができる保険のため、契約できる保険金額の上限が、火災保険の保険金額の30%~50%以内と定められているのです。

つまり、主契約とも言える火災保険で設定した保険金額の最大半額までとなります。(ただし限度額あり)

言い換えると、地震が原因でマイホームが全損したとしても、保険金額で建て直しは厳しいことを理解しておく必要があります。

地震保険の目的が当面の生活費を工面することにあるからです。

地震保険の損害の基準料率

地震保険は国と保険会社との共同運営により、保険会社による差はなく、どの保険会社で契約しても補償内容は全く同じです。
よって各社共通ということで、地震保険の損害の判定においては程度に応じて4段階に分けられます。

保険金の支払いは、それぞれの基準料率で決まります。

全損(地震保険金額の100%)

  • 建物:基礎・柱・壁・屋根など建物主要構造部の損害額が建物の時価の50%以上、あるいは焼失・流失した床面積が建物の延床面積の70%以上
  • 家財:家財の損害額が時価の80%以上

大半損(地震保険金額の60%)

  • 建物:基礎・柱・壁・屋根など建物主要構造部の損害額が建物の時価の40%未満50%以上、あるいは焼失・流失した床面積が建物の延床面積の50%以上70%未満
  • 家財:家財の損害額が時価の60%以上80%未満

小半損(地震保険金額の30%)

  • 建物:基礎・柱・壁・屋根など建物主要構造部の損害額が建物の時価の20%以上40%未満、あるいは焼失・流失した床面積が建物の延床面積の20%以上50%未満
  • 家財:家財の損害額が時価の30%以上60%未満

一部損(地震保険金額の5%)

  • 建物:基礎・柱・壁・屋根など建物主要構造部の損害額が建物の時価の3%以上20%未満、あるいは建物が床上浸水または地盤面から45cmを超える浸水を受け損害が生じた場合で、全損・半損(大半損・小半損)に至らないとき
  • 家財:家財の損害額が時価の10%以上30%未満
※時価について補足

建物の価値を測る評価方法で、新価から時間による消耗分(経年劣化)を引いたものを「時価」といいます。
また、新価は再調達価格ともいわれ、建物の再建にかかる費用を全てまかなうことができます。

注文住宅購入時に検討する火災保険や地震保険の種類や補償内容や補償範囲など

まとめ

マイホームの火災保険に加入する際は、まず保険の対象を決めることが大切ですが、建物と家財の両方がおすすめです。

たとえ、補償内容が充実した保険に加入してとしても、対象が相違していたときには保険金は支払われません。
特に補償対象が建物のときは、評価方法によって支払われる金額が異なるので、しっかりと確認が必要です。

ここ最近では地震も多くなっていますので、地震による被害、さらには地震の発生で起こる津波、または噴火での損害を補償してくれるのは地震保険のみです。
地震保険は各社共通の補償であり、保険料も比較的割安なため、ハサードマップでマイホームのリスクを確認した上で、セットするかどうか判断すると良いでしょう。

簡単に買い替えることができないマイホームだからこそ、火災保険の補償の仕組みを理解し、納得した上で契約する必要があります。